セカンドラブは魔法の味

「僕の本当の母さんは、昔から霊感が強かったって聞いているから。僕にもその力が受け継がれているみたいでね、人を見ると良い人か悪い人かわかるんだ。それでね、いつからだったかな? 人の魂の声が聞けたり、亡くなった人の声が聞けるようになったんだ。どうして悲しい目をしているのか、なんで本当の事が言えないのか。それを聞くと、魂が素直に答えてくれる。だから、心優とハルの事も分かったんだ」



 心優は驚いてポカンとした顔をしている。


「信じられないよね。そんな人が、実在するなんて誰も思っていないから。むやみに人に言えないし、本当に必要な時しか魂は答えてくれない。心優の魂だって、なかなか答えてはくれなかったよ。やっと答えてくれたのは、ハルが力を貸してくれたからだね。ハルは亡くなってから、10年経ったらお墓に戻ってくると言っていたから。心優がハルに輸血してもらって、心優の中にハルがいたから。お互いのエネルギーが総合していたんだ。でも10年たったら、終らせて心優の幸せを掴んでほしいってハルは願ったんだ。もっと早くても良かったかもしれないけど、ハルにも色々とあったようなんだ」


「・・・なんだかよく分からないけど。世間で言う、霊感とか占いとかそうゆうのとはまだ違うのかな? 」

「うーん、どうだろうね? 光の存在と一身になれる人は、限られた人らしいから。僕は母から受け継がれていたから。でも、娘の涼子にもまた違う形で受け継がれていて。涼子は未来が見えるみたいなんだ」

「そうなのね。ちょっと変わった子だと、思ったけど」

「いつも、突然言い出すからみんな驚いているよ。それでもね、今回みたいに、火傷の跡を消す事はもうできないよ。あれはハルが手伝ってくれたから、出来た事なんだ。本当に愛する人の為に使える、一度きりの魔法だから」

「なんだか・・・映画の世界のような感じだけど。・・・実際に、あんなに酷かった火傷の跡が消えているから・・・今は感謝しかありません・・・」


 心優はギュッと、幸弥の背中にしがみついた。

 幸弥の鼓動がとてもここちいい。



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