セカンドラブは魔法の味
それからしばらくして。
2時間ほど、幸弥は待合室で待っていた。
「すみません、お待たせして」
先ほどの看護師が戻ってきた。
「あの、どうでしたか? 診察は」
「全て問題なしでした。足は軽くひねったようで、明日には痛みも消えそうです。手の方もシップ対応で問題ありませんので。大丈夫ですよ」
「よかった。それで、先生は? 」
「はい、まだ他の患者さんの対応があるので仕事に戻りました」
「そうですか。では、後日改めてお詫びに伺いますので、今日はこれで失礼します」
「はい、お気をつけて」
ほっと一安心して、幸弥は病院を後にした。
今日も一日の仕事を終えて幸弥も自宅へ戻ってきた。
自宅と言っても事務所の2階。
2階にリビングとキッチン、居間、和室、バスルームとトイレがある。
そして3階が寝室になっている。
涼子の部屋と幸弥の部屋と空き部屋が1室ある。
夕飯も済んでお風呂に入って、涼子も寝て、幸弥のホッとできる1人の時間が出来る。
部屋で幸弥はパソコンを見ていた。
光友総合病院の情報を見ている幸弥。
理事長は田宮幸三(たみやこうぞう) 名門医大を卒業してアメリカ留学もしている腕利きの医師。
院長は中野木謙三(なかのき けんぞう) 名門医大を卒業後、光友総合病院へそのまま勤務、その後数年海外での実務経験あり、現在院長の座にいる。
他の医師の紹介も写真付きで乗っている。
幸弥は今日会った女性、桜本心優の事を見ていた。
外科医の医師として、心優の写真も掲載されている。
大きなマスクに左目は前髪で隠れている、見える右目は冷たい感じがするが、なんだか悲しそうな目をしている。
ほとんど顔を隠しているような心優。
言葉も乱暴で、突き放す態度をしていた心優だが、タクシーの運転手が仕事に響かないようにと事故扱いしないように配慮してくれていた。
幸弥が名刺を見せると持っていた手が震えていた。
素直に名前を名乗ってくれなかった心優だが。
それも関わらないようにしていたように思える。