婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
「おじゃまします……って、玄関からすごっ……」
初めてここにやってきた私とまるで同じリアクションを取りながら、日菜子は私に続いてリビングに入ってくる。
すると、「ちょっと、素敵すぎ!」と、部屋の中を見渡した。
「適当に座ってて。コーヒーがいい? 紅茶もできるよ」
「じゃあ、コーヒーにする。あ、ケーキとか洋菓子買ってきたんだ」
キッチンに入った私の元に、日菜子が手に持っていた紙袋を差し出す。
「えー、わざわざありがとう。じゃ、一緒に出すね」
「うん。色々買ってきたから、あとは彼と食べてよ。あ、あと、引っ越し祝いというか、訪問記念というか、これね」
お菓子の紙袋とは別の紙袋を差し出されて受け取ると、少しずしっと重みがある。
「え、何これ。こんな気使わなくていいのに」
「いいの、気持ちだから。気に入ったら使ってよ」
「ありがとう。あとで開けてみよう」
「それにしても、ほんといいマンションだね。あの婚活パーティーの企画してる会社の人とかって言ってたけど、重役か何か?」
キッチンを出てリビングへと向かい、日菜子はソファに手荷物を置く。