婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
そんなに驚かれると、今更ながら不安な気持ちになってくる。
日菜子は口をつけたカップをソーサーに起きながら「まぁ……」と口を開いた。
「まだ婚約したてだからっていうのもあるかもしれないけどねぇ」
「けど?」
「ほら、普通男ならさ、寝室一緒がいいと思うと思わない?」
日菜子の直球の言葉に、不意に顔が熱くなる。
あからさまな私の態度に日菜子はふふっと笑った。
「そっか……そういうもの、か……」
「そういうものでしょ。まぁ、わからないけどさ」
言われてみればその通りで、妙に納得してしまう。
でも、越してきた日に別々の部屋で寝るということにしてから、そんな話は全くしていない。
もし貴晴さんがそういう気でいるなら、少しくらい話題に上がってもいいはずだ。
もしかしたら……と、ずっと心に引っかかっていたことが存在感を露わにする。
タルトにフォークを入れる日菜子を目にしながら、「日菜子……」と呼びかけた。
「私ね……気になってることがあって……」
「何、気になってることって」
「うん……私さ、軽い女だと思われてないかって、実はずっと心配してて……」