婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
「え? 何どういうこと?」
「こんな風にお見合いする相手だってわかってたら、出会った日にあんな……」
言葉を濁すと、事情を知っている日菜子は包み隠さず「一夜の過ちのこと?」と私の代わりに口にする。
「うん。順番を間違うようなこと、しなかったのにって……だから、もしかしたら実は愛想つかれてたりとかしてって思って……」
婚約して一緒に住むまで話は進んでいるけど、解消になる可能性だって有り得る。
今の絶妙な距離感は、貴晴さんの中の迷いなのかもしれない。
「なーに馬鹿なこと言ってんの? そんなこと、あるわけないって!」
私の心配をよそに、日菜子は沈んだ空気を笑い飛ばす。
「そうだったとしたら、初めから婚約して一緒になんか住むはずないでしょ?」