婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
甘美な時間は、幾度となく繰り返された。
私がベッドに沈んだままもう動けなくなってしまうと、貴晴さんはやっと私を枕へと横にしてくれた。
それはまるでこれまでを取り戻すようで、いつも優しく穏やかな貴晴さんの新たな一面を垣間見たようだった。
「ごめんね、里桜。大丈夫?」
「はい……大丈夫です」
私の横に寄り添って、貴晴さんは私の汗ばんだ額をぬぐってくれる。
「里桜が可愛いから、なかなか止められなかった」
自嘲気味に笑う貴晴さんの様子を目に、ふとこれまで気に掛かっていたことを思い出した。
「私……実はずっと、心配だったことがあって」
「心配?」
「はい……貴晴さん、きっと私のことを、軽い女だと実は軽蔑してるんじゃないかな、って……」
「え? 何それ」
思わぬことを言われたように、貴晴さんはぽかんとしてしまう。
「初めて会った日に、あんなことになってしまったので……」
そうわかるように説明すると、今度はぷっと何故だか噴き出された。