婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
忙しない師走が過ぎ去り、新たな年を迎えた。
一月二日――。
ふたり揃って顔を見せると、洋司さんはいつも通り嬉しそうに出迎えてくれた。
「会長、今日はご報告をと思いまして」
話を切り出した貴晴さんに、私まで横でピンと姿勢が伸びる。
「様々準備が整いましたので、昨日入籍してまいりました」
新年を迎えた元旦の昨日、私たちは無事入籍の手続きを踏んできていた。
元旦婚、というおめでたいやつだ。
報告を受けた洋司さんは目尻の皺を深め、にっこりと微笑む。
「そうか……おめでとう」
その笑顔を見て、今日この報告をし来られたことに心からホッとしていた。
「また、長生きする希望が見つけられそうだ……結婚式にはぜひ参列したいよ」
「はい、もちろんです!」
「それに、やっぱりひ孫の顔を見るまでは死ねないな」
洋司さんは「はっはっ」と楽しそうに笑ってみせる。
ひ孫を見たいという要望にはさすがに顔が熱くなってしまったけど、そんな幸せな日も洋司さんと一緒に迎えたいと心から思った。
「里桜ちゃん、貴晴のことをよろしく頼んだよ」
「はい。こちらこそ、不束者ですがこれからもよろしくお願いします」
頭を下げた私の背に、貴晴さんがそっと手を置く。
顔を上げると、ふたりの優しい笑みが私に向けられていた。