365枚のラブレター
(歩side)
「あゆ君って本当にカッコイイよね」
紗耶香はいつも、俺を褒めてくれる
「このペットボトル、開けて欲しいな」
ストレートに甘えてくるところも
カワイイと思う・・・
でも・・・
「この前、クラスの中山君に会ったでしょ
商店街で
その時の服装
ダサいと思わなかった?
顔もキモイんだから
せめて服装だけは歩君を見習って
オシャレにすればいいのにね」
「・・・ああ・・・」
紗耶香は
自分が好きではない奴に対しては
容赦なくけなす
「名波先生って、やることがのろいよね
あゆ君も、そう思わない?」
「・・・そうだね・・・」
俺はそんな紗耶香の言葉を聞くたびに
心がクレヨンで
グシャグシャに塗りつぶされたように黒くなり
この場から逃げたくなる
クララだったら・・・
人格を否定することは言わないのにな・・・
あの人、こんなところが素敵ねって
笑顔で微笑むのにな・・・
クララは
人の良いところを見つけるのが得意だった
人の悪口は言わずに
私と考えが違って面白いって
目を輝かせて楽しんでいた
なんでだろう・・・
なんで俺は
優しくて
頑張り屋で
人を否定しないクララの手を
放してしまったんだろう・・・
クララを傷つけてまで
紗耶香と付き合ってしまったんだろう・・・
俺は本当にバカだったなと
最近思うことが多くなった
でも
俺がクララを傷つけた代償が
今するどい刃がついたブーメランとなって
俺を切り刻んでいる
クララはもう・・・
琉生と付き合っている・・・
どんなに謝っても
もうクララは俺の元へは
帰ってきてくれないだろう・・・
クララにはもう時間がない
あと10日後
永遠の愛を誓わないと
この世から消えてしまうんだから・・・
琉生と永遠を誓うクララに
今更俺が『好きだ』といったら
どうなるだろう・・・
もしかしたら
俺の方に戻ってきてくれるかもしれない
でも
琉生と永遠を誓うのをためらって
この世から消えてしまう可能性もある・・・
俺が今更気づいた
クララへの思いを押し殺して
紗耶香と付き合っているのが
一番いいんだろうな・・・・
本当は、クララと一緒にいたいが
俺はあと10日
クララの誕生日が過ぎるまで
紗耶香の彼でいようと心に誓った