365枚のラブレター

俺たちは
どれくらいの時間
泣き崩れていただろう・・・




「舞ちゃん

 家まで送るから・・・行こう」



琉生の言葉に
高梨舞が静かにうなずいた




「歩君、これ」



高梨は俺の前に
赤いリボンが巻かれた箱を差し出した



「これ・・・って?」



「歩君の誕生日に
 クララが用意したプレゼントだよ」



「俺・・・風鈴もらったけど・・・」



「開けてみなよ!」



俺は言われるがまま
リボンをほどき
箱を開けた



「これって・・・」



俺が紗耶香にもらった財布の
色違いだった



「クララね
 歩君に財布を買ってあげるんだって
 一生懸命お金を貯めてたの

 『買ったつもり貯金』って言いながら

 食べたいもの我慢して
 欲しい服も我慢して
 この貯金箱にお金を入れてたんだから・・・

 それなのに・・・

 『歩君に渡せなかった
 紗耶香さんに財布をもらってた』
 って大泣きしてたクララが
 私忘れられないの」




そう・・・だったのか・・・



「私ね、どうしても歩君が許せない!

 歩君がクララとの約束を破らなければ
 クララは消えずにすんだのに

 でも・・・
 クララにお願いされたの

 歩君のこと、嫌わないでって

 歩君のお陰で、私たち出会えたでしょって

 こんな時まで、歩君に感謝するなんて
 クララらしいでしょ」



高梨はまたまた目に涙をためながら
最後は少し微笑んだ



そして琉生にもたれながら
帰っていった



クララ・・・
俺が欲しいって言ってた財布を
買ってくれてたんだな



あの時
俺が紗耶香よりクララを選んでいたら
目をビー玉のようにキラキラさせて
俺に微笑んでくれただろう



「お誕生におめでとう
 この財布、使ってね!」って



月明かりで優しく照らされた風鈴が
カラリントゥリリンと
乾いた音を響かせる参道を歩き
俺はトボトボと家まで歩いた

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