365枚のラブレター
「クララ・・・
俺のせいで・・・
本当にごめん
謝っても謝りきれない
ごめん クララ・・・」
俺はクララを抱きしめたまま
謝り続けた
クララの肩が
俺の涙でぬれている
「歩君・・・私を見て」
俺は溢れる涙をぬぐうって
クララを見つめた
「私、この一年幸せだったよ
風になって
歩君のそばにいれたから」
「風?
もしかして・・・
クララがくれた風鈴が揺れたのって・・・」
「そう。私だよ
歩君、短冊に
私宛のメッセージを書いてくれてたね
すっごく嬉しかったよ
こんなに私のこと思ってくれるんだって
幸せな気分だったの」
この1年
ずっと会いたかったクララが
俺のそばにいてくれてたんだとわかったら
嬉しくてまた、俺の頬に涙が伝った
「国王様、エイト様、魔法界の皆さん
私のために本当にありがとうございました」
「クララ、お前の気持ちを確認させてくれ」
「国王様?」
「お前は本当に
人間となって歩殿のそばで生きていくのか?」
「はい」
「お前は
魔法学校の教員に合格をしたのだぞ
その夢が、叶うのだぞ」
「私は子供たちに勉強を教えたい
その思いは消えたわけではありません
でも私は、歩君と生きていきたいんです
この人間界で、幸せを見つけたいんです」
「そうか・・・
そこまでの思いを
私が邪魔をするわけにはいかないな」
「国王様!」
「クララを人間にしてしんぜよう!
そして、人間と魔法使いの恋の掟も
今ここで破棄とする!」
「ありがとうございます」
「おいクララ、一つだけ俺にも言わせろ!」
紫髪のエイト王子が
右の口角をグイッとあげ
にやけながら言った
「人間界のパンフレットに載ってる場所
全部行っとけよ!
お前まだ、パンダに会いに行ってないだろ!
パンダ会いに行けよな!」
「え????」
クララは何のことか
よくわかってないらしい
人間界のパンフレットを作ったのが
エイトだってことは
クララには内緒にしておこう
いつクララが気づくのか楽しみだからな
国王や神主さん、魔法界の人が帰ったあと
エイトが俺を神殿の陰に呼んだ
「歩、一つ俺のお願い聞いてくんない?」
「は?・・・
内容によるけど・・・」
「これを・・・
高梨舞に渡して欲しい」
「高梨に?
別にいいけど・・・
これって・・・」
「ラブレターに決まってんだろ!」
エイトの奴、顔が真っ赤になってる
かわいいとこあるじゃん!
「クララには言うなよ!
言ったら
魔法界からお前の家に
雷を落としてやるからな!」
「エイトが言うと冗談に聞こえないな
クララには言わないよ
渡してやるから安心しな
お前も高梨と、うまくいくといいな」
「ああ」
そして俺たちはエイトとも別れ
言霊神社のベンチに座り
暗闇に揺れる風鈴の音を聞いていた