「ひねくれモノめッ!」

その後も秋子さんは接客をしつつ、調理をしつつ、私に仕事内容を教えてくれた。

と言うか、今まで西辻さんがやっていた事と、私にこれからやって欲しい事がリストアップされていて、それを見ながら今後の働き方を決めた様な感じだ。

11時から今度はランチが始まる。
その前に初めて会う従業員の人が来た。

「オレは昼から厨房を担当している山南 信成(やまなみ のぶしげ)だ。この間お前さんが美味しそうに食ってくれたケーキもオレが作ったんだぜ。」
「そうだったんですか!いやホントすごくまじで美味しかったです!あ、桜木朔です。どうぞよろしくお願いします!」
「ははは!おうよ、よろしくな!」

ちょっとゴツめの山南さん。ザ・頼りになる兄貴!って雰囲気の男性だ。
私がここに来た初日は、キッチンの奥から事の成り行きを見ていたらしい。
雇用契約書を見ながら軽くお話すると社員さんの様だ。

あ。

「え、山南さん、27歳なんですか?」
「おう。こんな見た目だが、まだ30越してないぞ。」
「まじですか。同い年かよ・・・」
「まじか。お前さん逆に全然見た目若いじゃねーか。」

いや、山南さんが見た目相応に見えないだけだと思う。
だって30半ば位に見えるからね、貴方。
そう思っていた事が口に出ていたらしく、山南さんは、ははは!と笑った。

「違いないな!じゃあ親しみ込めて朔って呼ぶわ。オレの事も名前でいいぜ。」
「じゃあノブさんって呼ぶね。」
「呼び捨てでもいいぞ?」
「見た目がよろしくないから、さん付けする。」

そう言うとノブさんは、ははは、と笑う。
タメ口なら意味無いだろ、と。
気持ちの問題だ、と言いうとまた、ははは、と笑った。
良く笑う人だ。国山クンも見習えば良いと思う。
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