アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
口を開けっ放しの私を、折橋さんは揺らす。

「あっ、すみません。」

慌てて口を拭いて、益々体が硬くなった。

「そんなに緊張しないでください。ただの検査ですから。」

「は、はい。」

それで緊張してるわけじゃないんだけど、そう言う事にしておかなきゃ、この先乗り切れない。


そうよ。

私は今、検査に緊張してるのよおおお。


そして駐車場に、滑らかなに着いたリムジン。

運転手の人がスッと降りて、後部座席のドアを開けてくれた。

「どうぞ、お嬢様。」

「は、はい。」

お嬢様でもないのに、お嬢様って呼ばれると、そう振舞わなきゃいけないのかなと、思っちゃう。

えーっと、足、足から確か、降りるんだよね。

私は足を伸ばすと、お尻を引きずった。

でもまだ、外には届かない。

また足を伸ばして、お尻を引きずり、また足を伸ばして、お尻を引きずり……
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