アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
「は、はい。珍しいですね。」

はははっと、愛想笑いをした。

「何でも、人が生きていく中で大切な、智、仁、武、勇、信を現すとかで。僕の両親、そう言う事好きなんです。本人は、一切そう言うのないんですけどね。」

そんな事ないと、思った。

だって、折橋さん……

私は、自分の手をぎゅっと握った。


「私は、あると思います。」

「えっ?」

私と折橋さんは、顔を見合わせた。

「だって折橋さん、車道に飛び出した私を助けてくれたし、こうして病院に連れて来てくれたし……少なくても、優しくて勇気のある人だと、私は思います。」

ドキドキする。

なんでこんなありきたりな事言うのに、胸がドキドキするんだろう。

「……ありがとう、つむぎさん。」

その笑顔に、全身がドキンッとした。

「いえ……」

私はもうその笑顔に耐えられなくて、代わりに廊下の壁を見た。


どうしよう。

私、折橋さんの事……
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