アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
「女性一人泣いていると、周囲の目が気になるでしょう。こうしていれば、人の目も気になりませんから。」

いやいや。

その代り、私の心臓がヒートアップするって!

「で、でも!折橋さんが人に見られて、恥ずかしいんじゃ……」

「僕は男だから。それに男は、女を泣かせるくらいじゃないと。」

それを聞いて私は、思わず笑ってしまった。

「ふふふ。泣かせるの意味が、違いますよ。」

「本当だ。」

そして折橋さんも、クスクス笑いだす。


なんだか、折橋さんの明るい性格に、涙も引っ込んでしまった。

でもせっかくだから、もう少しだけこのほんのり香水の匂いがする折橋さんの胸の中に、いさせて貰おう。

その時だった。

「水久保さん。水久保つむぎさん。」

美人看護師の、私を呼ぶ声。

「あっ、検査結果が出たのかな。」

折橋さんも、私を自分の胸から、引き離す。


あーあ。

パラダイスから抜けちゃったよ。
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