ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
あの人妻、名前も知らない相手だったのか。かなり親密に見えたけれど。

「兄は、その女性を見つけて、何をするつもりなのか」

「あなたは運命の女性です。結婚してください、と申し込みたいのでは?」

「池の中に落ちていた靴の持ち主と?」

「ぶはっ!!」

飲んでいたお茶をすべて噴き出してしまった。メルヴ達がすぐにテテテーとやってきて、口やドレスを丁寧に拭いてくれる。や、優しい……。

カイロス殿下の不貞の場を目撃し、見つかってしまった挙げ句、逃走の邪魔になるからと踵の高い靴を池に投げ捨てたのは、紛(まぎ)れもなく私だ。

カイロス殿下は、私がセレネ姫に不貞の秘密を喋ったのだと思っているのかもしれない。誤解だ。私は、あの濃密な場面について、誰にも話していなかった。

「アステリア、大丈夫か?」

「え、ええ……」

先ほど、マーライオンのように紅茶を噴き出したのに、お咎(とが)めなしだった。それどころか、心配までしてくれる。

イクシオン殿下はかなり大きな器を持つ、心優しい男なのかもしれない。
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