ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
「アステリア、どのような魚を所望する?」

「あそこを泳いでいる、鯖っぽい魚」

「マクレーレだな」

この国では、鯖を“マクレーレ”と呼んでいるらしい。なかなかカッコイイ名前だ。

メルヴは自分の体長以上の長さの網を操り、鯖を捕ってくれた。

体長五十センチほどの、立派な鯖である。もしかしなくても、メルヴより大きいだろう。

メルヴはビチビチ暴れる鯖を、持ってきてくれる。

「えっと、棒か何か叩く物を」

「棒で何を行う?」

メルヴが麺棒を渡してくれるのと、イクシオン殿下の質問は同時だった。

とりあえず、ビチビチ跳ねる鯖を大人しくさせる。麺棒を振り上げ、眉間に強力な一撃をぶちこんだ。一発で、鯖は動かなくなる。

「と、こんな風に、魚を失神させるのに使うの」

「そ、そうだったのか」

イクシオン殿下は明らかに引いていた。少々暴力的だったからだろう。ビチビチさせたままだったら、魚はさばきにくくなるので仕方がないのだ。

レストランで働いていたときも、新鮮な魚が毎日届けられていた。まな板の上で跳ねる魚を、出刃包丁の背で叩く日々だった。
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