ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
「アステリア、なぜ、ここで殺さない?」

「殺したら、魚の体に血が巡った結果雑菌が繁殖して、不味くなるのよ」

「ああ、なるほど。だから、調理を始める前まで、失神させるのか」

イクシオン殿下は頷きながら、動かなくなった魚を興味深そうに見つめている。

そのタイミングで、脇に抱えていた靴を、海に落としてしまった。

ポチャン、という音が聞こえる。

「あ!」

「ん?」

海のほうを指さすと、イクシオン殿下は沈みゆく靴を目にしたのか、顔色が海色に染まっていった。

飛び込もうとしたので、慌てて体に抱きついた。

「止めて、死ぬから!」

「兄上の大事な靴が!」

「大事な靴じゃないから!」

「どうして、決めつける!」

「私の靴だからよ!!」

ついに、言ってしまった。イクシオン殿下は、油が切れたからくり人形のように、ギッギッギッと、ぎこちない動きで私を振り返る。
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