ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
手に持っていた扇を投げられてしまったが、白い毛玉がたたき落としてくれる。

何かと思ったら、リュカオンだった。いつの間にか、自分だけ土を落としてきれいになっている。

「きゃあ! この子犬は、なんですの!?」

昨晩、お披露目したばかりの聖獣リュカオンですが。

成獣と幼獣姿はあまりにもかけ離れているので、同一犬だと思えないのだろう。

「えーっと、こちらの子犬は、イクシオン殿下の飼っている、喋る犬です」

嘘は言っていない、嘘は。

いろいろ突っ込まれるかと心配していたが、エレクトラは素直に信じてしまった。

「イクシオン殿下の……? そ、そうですの」

たたき落とした扇を踏みつけた状態で、リュカオンは振り返る。キリッとした表情で、私達に宣言した。

『一人の男を争って、物理的な喧嘩をするでない、見苦しい』

イクシオン殿下がいたら、「私のために、喧嘩するな!」と仲裁することもできたが、あいにく不在だ。実に惜しいタイミングで出かけたものである。

二人の人間が一人を争うなど、胸が熱くなるような展開だっただろう。

って、私は別に、イクシオン殿下を手にするつもりはないけれど。
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