幸せな結末
樹の出産が終わり、産後2か月程度家政婦を続ける予定だが、その後の予定は未定のままだった。
定期的に朝陽とは連絡を取り合っていて、朝陽はもう一度看護師として働くことを進めてくれていた。

それでも理恵が決断できないのは、新しい命の誕生を素直な気持ちで再び喜ぶことができるか自信がないからだった。

自分には不可能な未来を手にする患者たちを、素直な気持ちで祝福することが自分にはできるのだろうか。

そう考えると自信がない。

看護師である前に、自分だって一人の人間で、一人の女性だ。

そんな悩みの中で湊から樹の陣痛の知らせが来た。

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