幸せな結末
「私のプリン!」
理恵の唯一の楽しみだったプリン。
「今は体の機能が低下してるからな。我慢だな。これも。」
朝陽が理恵の体にできた蕁麻疹をさすりながら理恵を見る。

理恵は下唇をかみしめながら悔しがった。
「私のプリン・・・」
「生まれたらこれでもかってくらい食べていいから。」
「・・・プリン・・・」
朝陽が取り上げたプリンを見る理恵に朝陽は笑いながら残っていたプリンを自分の口に運んだ。
「あ~!私のプリン!」
「はいはい。生まれたらいっぱい買ってくるから。」
と朝陽は目に毒になっているプリンの容器を片付けた。
「プリンって名前つけてやる・・・」
理恵が怒っていると朝陽がキッチンから戻ってきて理恵のお腹をさすった。
「そんなこと言わないでくれって怒ってるぞ?ほら」
理恵のお腹のなかで元気に動く赤ちゃん。
二人は顔を見合わせて笑いながら一緒に理恵のお腹に手をあてた。

たくさんの壁を乗り越えた先に待つ幸せをかみしめながら二人は寄り添い、一緒の時間を味わっていた。
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