幸せな結末
「あーーーーーー」
理恵の声に朝陽がすぐに浴室から駆けつけて再び携帯電話のアプリに時間を記録する。
一声でなにが起きていて、何をしてほしいかわかる朝陽。
理恵に陣痛の波がくると理恵から事前に指導されていた腰や背中のマッサージを始める。

机の上にはお守りのようにテニスボールが置かれていた。

理恵は今まで数えきれないお産に立ち会ってきた。
その経験上、自分が患者に言ってきたことを実践する。

赤ちゃんに酸素を送ること。声を出すと酸素が減ってしまうためひたすら大きく深呼吸をすること。腹式呼吸~・・・。

「痛い・・・」
でも、そういわずにいられない痛さ。

今まで出産してきた患者全員を尊敬する気持ちがこみ上げる。
そして、時々厳しくしてしまった患者もいたことを思い出し、心から謝った。
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