幸せな結末
「同級生だね。」
「うん」
「初めて樹さんに会った時、こんな未来を想像すらできてなかったな・・・。」
理恵が庭で遊ぶ朝陽を見る。
「朝陽と離婚して、これからはずっと一人で生きていかなくちゃいけないって思ってる時だったから、樹さんがあの時、朝陽を呼んでくれなかったら、今の私たちの幸せはなかった。」
「そんな。二人なら私のアシストなんてなくてもきっともう一度結ばれてたよ。」
樹が理恵を見る。
「いつどこでなにがあるか、誰にもわからないけど、何一つ無駄じゃないって思うの。」
「・・・うん」

理恵は朝陽と出会った時のこと、忙しさでお互いにすれ違っていた時のこと、もう一度ちゃんと向き合おうとしたときのこと、離れた時のこと、そしてもう一度結ばれたこと・・・思い出していた。
「光にも、この子にも、出会えたことは奇跡だって思ってる。でもこの奇跡には今までの積み重ねがなかったら出会えなかった。つらいこともたくさんあったし、苦しくて泣いたこともたくさんあったけど、そう思うとどれも愛しく思える。今はね。」
理恵は朝陽を見る。目と目が合うと朝陽は理恵に最高の笑顔を見せる。
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