【極上旦那様シリーズ】きみを独り占めしたい~俺様エリートとかりそめ新婚生活~
れんげでとんすいに取り分け、食べるのかと思ったら、彼はそれを私にくれた。
「ありがとうございます、いただきます」
「……俺は元来、ひとりでも平気なたちだ。むしろひとりのほうがいい。休日の予定が真っ白でも気にならない。友だちと呼べる人間も少ない」
「知っています」
お箸ではすくえないであろう、繊細な豆腐は、口の中でとろっと溶けて、濃厚な豆の味がした。顔を見あわせ、おいしい、とうなずきあう。
「だけど今、帰るとひとりで……まあ、花恋の前で見栄を張るつもりもないから言うが」
なんとはなしにおしぼりで指先を拭いながら、彼が自嘲するように笑った。
「さみしくてしかたない」
一臣さん、私も。
もうひとさじ、湯豆腐を口に入れ、ゆっくり咀嚼してから、小さく息をついた。
「俺は自分で思っていた以上に、きみと一緒になりたかったみたいだな」
私も……。
だけどもう、過去形なんですよね。
その後、少し食欲を取り戻した一臣さんは、いつもほどではないものの、それなりに食べた。そして結局お酒も飲んだ。
お店の外は静かな裏通りだ。雑居ビルの裏側を見ながら大通りを目指す。
「酔った」
「あたり前です」
「そんな怖い声出さないでくれ。酩酊するほど飲んだわけでもなし」
「心配してるんです」
通りに出た瞬間、前から走ってきたタクシーがすっと一臣さんの横に停まった。
『僕はタクシーを拾うのがうまいんだ』とアシスタントになってすぐ、彼が自慢したことがある。これはそのとおりで、何度見ても魔法みたいだ。
手を挙げているそぶりもない。アイコンタクトを取っているとしたら、こんな夜にどうやって?
運転手さんと少しやりとりし、彼は私を手で促した。
「ありがとうございます、いただきます」
「……俺は元来、ひとりでも平気なたちだ。むしろひとりのほうがいい。休日の予定が真っ白でも気にならない。友だちと呼べる人間も少ない」
「知っています」
お箸ではすくえないであろう、繊細な豆腐は、口の中でとろっと溶けて、濃厚な豆の味がした。顔を見あわせ、おいしい、とうなずきあう。
「だけど今、帰るとひとりで……まあ、花恋の前で見栄を張るつもりもないから言うが」
なんとはなしにおしぼりで指先を拭いながら、彼が自嘲するように笑った。
「さみしくてしかたない」
一臣さん、私も。
もうひとさじ、湯豆腐を口に入れ、ゆっくり咀嚼してから、小さく息をついた。
「俺は自分で思っていた以上に、きみと一緒になりたかったみたいだな」
私も……。
だけどもう、過去形なんですよね。
その後、少し食欲を取り戻した一臣さんは、いつもほどではないものの、それなりに食べた。そして結局お酒も飲んだ。
お店の外は静かな裏通りだ。雑居ビルの裏側を見ながら大通りを目指す。
「酔った」
「あたり前です」
「そんな怖い声出さないでくれ。酩酊するほど飲んだわけでもなし」
「心配してるんです」
通りに出た瞬間、前から走ってきたタクシーがすっと一臣さんの横に停まった。
『僕はタクシーを拾うのがうまいんだ』とアシスタントになってすぐ、彼が自慢したことがある。これはそのとおりで、何度見ても魔法みたいだ。
手を挙げているそぶりもない。アイコンタクトを取っているとしたら、こんな夜にどうやって?
運転手さんと少しやりとりし、彼は私を手で促した。