【極上旦那様シリーズ】きみを独り占めしたい~俺様エリートとかりそめ新婚生活~
周囲は高層ビル街だ。昭和の時代に建った先駆け的な高層ビルに、追いつき追い越すようにどんどん建設された新しいオフィスビル。
立体交差の多い道路と同じく、ビルのふもとのオープンスペースもびっくりするような階層構造になっており、1階だと思っていたビルの入り口が、反対側の出口を出てみたら3階だったなんてこともある。
この広場も、普段歩いている道からはかなり下がった位置にあり、美しくデザインされた階段とふんだんに植えられた木々に囲まれている。
まさに都会のオアシスだ。
「今度、CEOと軽く食事をする。最初の一杯だけ立ち会わないか?」
ふいに一臣さんが言った。
「差し支えないようでしたら、ぜひ」
テックのCEOは、モメント本体の取締役社長だ。一臣さんのいた会社、《ザ・パスウェイ》の元幹部でもある。
「今回の件についてのお話ですか?」
「まあ、このタイミングでってことは、そうだろうな」
刈宿さんの暴挙に本体の副社長が噛んでいたと知ったときから不思議だった。
社長はこのごたごたに気づいていなかったのか? 同じパスウェイ出身で、同じようにのし上がった一臣さんの窮状に、なぜなにもしなかったのか?
私の疑問に、一臣さんが笑う。
「気づかない人じゃない。全部わかったうえで、高みの見物をしてたんだよ」
「そんな」
「俺も探りを入れてみた。どうやら今回の揉め事は、パスウェイ出身者とノーシス出身者の、合併以来の遺恨が噴出した結果みたいだ」
「刈宿さんは、もっと個人的な動機で動いていた気がしますが」
「そこを利用されたんだよ。今、グループの上層部は双方の出身者が交互に重なってる。副社長はノーシス、社長はパスウェイ、CEOはノーシス……」
一臣さんが左右の手をかわりばんこに重ね、構造を表してみせる。
要するに、上のほうの人たちの派閥争いが、少し下層のレベルで展開されたわけか。おそらくグループ内のあちこちに、副社長の息のかかった社員がいるに違いない。
「そんな、くだらない話が現実にあるなんて」
「昔からあるよ。女性の争いはたいてい個人間の問題で終わるが、男の足の引っ張りあいってのは組織力や政治力を駆使するぶん、陰湿で容赦ない」
立体交差の多い道路と同じく、ビルのふもとのオープンスペースもびっくりするような階層構造になっており、1階だと思っていたビルの入り口が、反対側の出口を出てみたら3階だったなんてこともある。
この広場も、普段歩いている道からはかなり下がった位置にあり、美しくデザインされた階段とふんだんに植えられた木々に囲まれている。
まさに都会のオアシスだ。
「今度、CEOと軽く食事をする。最初の一杯だけ立ち会わないか?」
ふいに一臣さんが言った。
「差し支えないようでしたら、ぜひ」
テックのCEOは、モメント本体の取締役社長だ。一臣さんのいた会社、《ザ・パスウェイ》の元幹部でもある。
「今回の件についてのお話ですか?」
「まあ、このタイミングでってことは、そうだろうな」
刈宿さんの暴挙に本体の副社長が噛んでいたと知ったときから不思議だった。
社長はこのごたごたに気づいていなかったのか? 同じパスウェイ出身で、同じようにのし上がった一臣さんの窮状に、なぜなにもしなかったのか?
私の疑問に、一臣さんが笑う。
「気づかない人じゃない。全部わかったうえで、高みの見物をしてたんだよ」
「そんな」
「俺も探りを入れてみた。どうやら今回の揉め事は、パスウェイ出身者とノーシス出身者の、合併以来の遺恨が噴出した結果みたいだ」
「刈宿さんは、もっと個人的な動機で動いていた気がしますが」
「そこを利用されたんだよ。今、グループの上層部は双方の出身者が交互に重なってる。副社長はノーシス、社長はパスウェイ、CEOはノーシス……」
一臣さんが左右の手をかわりばんこに重ね、構造を表してみせる。
要するに、上のほうの人たちの派閥争いが、少し下層のレベルで展開されたわけか。おそらくグループ内のあちこちに、副社長の息のかかった社員がいるに違いない。
「そんな、くだらない話が現実にあるなんて」
「昔からあるよ。女性の争いはたいてい個人間の問題で終わるが、男の足の引っ張りあいってのは組織力や政治力を駆使するぶん、陰湿で容赦ない」