【極上旦那様シリーズ】きみを独り占めしたい~俺様エリートとかりそめ新婚生活~
はっと気がついた。開発していた他社って、もしかして……。
諏訪さんはアプリでやりとりするかたわら、ちらっと私に視線を向けた。
「《ザ・パスウェイ》、俺がいた会社だ。残念ながらサービスの完成を目前に体力が尽きて、モメントに買われた。助かったけどね」
「そのサービスと諏訪さんのご関係は……」
「よし、アドバイスをもらえた。出かけよう、ランチをしてから買い物だ」
「諏訪さん」
きみも着替えて、と言い残して出ていこうとする彼を呼び止めた。廊下で彼が振り返り、「俺か?」と陽気に微笑む。
「俺は、発案者であり、開発責任者だ」
ひとりになった部屋で、驚愕のあまりしばし立ち尽くした。
モメント本体が5年も懐で温めて、満を持して世に出したサービス。
パスウェイの買収は、得意分野の異なる企画者やエンジニアを手に入れることだけが目的じゃなかったのだ。
プラザの原型となった、そのサービスが欲しかった。たぶん、諏訪さんごと。
そのための吸収合併。
有能だということくらい知っていた。だけど彼は私が思っていた、はるか上をいく、すごい人だ。
……着替えるって、どんな服に?
「で、スーツか」
「一番自分に自信が持てる服で、ということでしたので……」
信号待ちの間、助手席の私を諏訪さんが運転席からしげしげと見つめる。
「やっぱり買い物には、おかしかったでしょうか」
「いや、きみらしいし、いいと思うよ。ただ、本来の趣味をそこまでひた隠しにする理由は、なんなのかなと思って」
「言ったでしょう、似合わないからです」
だけど見えないところにはこそこそと忍ばせていたりする。ボトルの保温ケースは、表は茶色の無地だけれど、裏地は赤の小花柄だ。
私用の手帳はレース張りの表紙だし、バッグにはポプリが……そういえば長いこと入れっぱなしで、しばらく香りをかいでいない。
諏訪さんはアプリでやりとりするかたわら、ちらっと私に視線を向けた。
「《ザ・パスウェイ》、俺がいた会社だ。残念ながらサービスの完成を目前に体力が尽きて、モメントに買われた。助かったけどね」
「そのサービスと諏訪さんのご関係は……」
「よし、アドバイスをもらえた。出かけよう、ランチをしてから買い物だ」
「諏訪さん」
きみも着替えて、と言い残して出ていこうとする彼を呼び止めた。廊下で彼が振り返り、「俺か?」と陽気に微笑む。
「俺は、発案者であり、開発責任者だ」
ひとりになった部屋で、驚愕のあまりしばし立ち尽くした。
モメント本体が5年も懐で温めて、満を持して世に出したサービス。
パスウェイの買収は、得意分野の異なる企画者やエンジニアを手に入れることだけが目的じゃなかったのだ。
プラザの原型となった、そのサービスが欲しかった。たぶん、諏訪さんごと。
そのための吸収合併。
有能だということくらい知っていた。だけど彼は私が思っていた、はるか上をいく、すごい人だ。
……着替えるって、どんな服に?
「で、スーツか」
「一番自分に自信が持てる服で、ということでしたので……」
信号待ちの間、助手席の私を諏訪さんが運転席からしげしげと見つめる。
「やっぱり買い物には、おかしかったでしょうか」
「いや、きみらしいし、いいと思うよ。ただ、本来の趣味をそこまでひた隠しにする理由は、なんなのかなと思って」
「言ったでしょう、似合わないからです」
だけど見えないところにはこそこそと忍ばせていたりする。ボトルの保温ケースは、表は茶色の無地だけれど、裏地は赤の小花柄だ。
私用の手帳はレース張りの表紙だし、バッグにはポプリが……そういえば長いこと入れっぱなしで、しばらく香りをかいでいない。