庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
「なんでそんなに結婚を焦ってるんだよ」
「だって、両親が花嫁姿を見たいっていうから」
「は? たったそれだけのためにたいしてよくも知らない男と結婚しようとしてたのか? 聞いて呆れる」
小さく溜息をつかれ、反論の余地を見失う。彼の言う通りだ。こんなことになって、逆に両親を傷つけることになってしまった。
きっと期待していただけにすごく落ち込むだろう。良くも悪くもすごくピュアな両親だから。
一気に後悔の念が押し寄せる。きっと遥斗を利用した罰が当たったんだ。
「で、その親父さんたちはお前のことを、首を長くして待ってるんじゃないの?」
彼の言葉にハッとして、落としていた視線を上げる。
「そうだった。私、行かなきゃ」
「手ぶらでか?」
「仕方ないじゃない……」
彼氏はいない、バッグはもちろんない。極めつけに新しいワンピもこの騒動でしわくちゃだ。でも自分が蒔いた種だ。
「ついて行ってやろうか?」
素直に話すしかないと腹をくくっていると、彼が思わぬことを言い出した。
「ついてきてどうするの?」
「彼氏のふり、してやるよ」
「えぇーっ!?」
何を言い出すんだこの男は。例え今日をしのいだとしてもいずれバレる。傷を持ち越すだけじゃない。
「わざわざ今日のために福岡から出てきてんだろう? それなのにお前のそんなぼろぼろな姿見たらすげーへこむと思うけどな。もしかしたら強制送還されるかもよ?」
きれの長い目を細め、ちょっと意地悪な口調で言う。彼はこういうやつだ。昔から外面がよくて、だけど私にはちょっと意地悪でよくからかわれたりした。泣かされたこともあるし、喧嘩も日常茶飯事だった。