庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
だからといって、急に優しくしたりはできなかった。俺の態度は変わらずで、椎花を時々泣かせたりもした。
「ほら今だ、いけ」
「あれ、うそ! また金魚逃げちゃった」
「今だって言ったのに。なんでそんなにトロイんだよ、椎花は」
「千晃くんが押すからだよー!」
破れたポイを見て半泣きになっている。
夏休み、俺は椎花と桜太と町の夏祭りに来ていた。そこで椎花がどうしても金魚がほしいというから隣で見ていたけれど、何度やっても、一匹も釣れない。
「飼いたかったな、金魚……」
シュンと肩を落とす椎花。その姿に妙な使命感にかられた俺は、少ない小遣いを差し出した。
「おじさん、俺も1回」
「千晃くん……」
申し訳なさそうに椎花が見ている。イカ焼きも焼きそばも食べたかったけれど、仕方ない。