北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
「でも、ばあちゃんの残したものが、まだたくさんある。ばあちゃんに、取っておく必要はないって言われたのに、どう処分したらいいかわからない。そういうの、片づけてくれたら、あとはなにをしててもいい」
「近いうちって、いつごろの予定なんですか?」
「半年以内には販売公開する話になってる」
「半年……」
 そんな期限は自分にとってたいした意味はない。でも凛乃に生じた迷いを捉えて、累は賭けに出た。
「報酬は、仮暮らしの提供。狭いけど寝る場所と、貧相でも3食と、わずかながら給料を出す。満足させてはあげられないけど、最低限は保証する。ほかに欲しいものはある?」
< 24 / 233 >

この作品をシェア

pagetop