明日は明日の恋をする
私と美玲さんが焼きそばを食べていると、進藤さんと高瀬さんが戻ってきた。

「タオルどうぞ。」

濡れて戻ってきた2人にタオルを渡す。

「ありがとう。…アイツ容赦ないわ。めっちゃ海に投げ込まれたし。」

タオルで髪の毛を拭きながら、高瀬さんがこそっと私に言ってきた。

「社長、体を動かしたらお腹空きましたね。さぁ食べましょう。」

「そうだな。」

そう言って2人は焼きそばを食べ始めた。

「私も海へ入りたくなりましたわ。」

美玲さんは裸足になりパラソルから出た。そして付き添いの為、進藤さんも食べるのを中断して立ち上がろうとする。

「あっ私、美玲さんと一緒に行きます。」

私はスクッと立ち上がり、美玲さんの横に行く。

「行ってきまーす。さぁ行きましょう、美玲さん。」

2人で砂浜を歩き始めた。美玲さんがいないうちに進藤さんと高瀬さんも素に戻って少し休めるといいな。

「俺の彼女、気がきくでしょ?」

「あぁ、おかげで少しのんびりできるな。」

歩いている途中にチラッとパラソルの方を見ると、お腹も満たされた2人はゴロンと寝転がっている。それを見て私は思わずクスッと笑ってしまった。

波打ち際まで来ると、美玲さんはスカートを少し持ち上げ波が来るのを待っていた。そして波が打ち寄せると、無邪気な笑顔で足にあたる冷たい海水を楽しんでいた。

「ねぇ明日香さん、今日は本当に楽しいわ。来てよかった。良い経験になりました。」

「それは良かったです。」

私も一緒に波打ち際にくる波で楽しんだ。

「君達可愛いね~。あっちで一緒に遊ぼうよ。」

私達に声をかけてきたのは全く面識のない男2人組。茶髪に金髪、所々に輝くアクセサリー、にやけた顔…あぁ、高瀬さん風に言うとこれが夏に浮かれた馬鹿な男達か。

ナンパ…面倒くさいなぁ。
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