明日は明日の恋をする
「そ、それにしても身体でって…。」

私は思わず両手で自分の二の腕を掴み、身体を隠すようなポーズをとった。

「何を勘違いしている?身体で払えっていうのは労働の事だ。」

「え?労働?」

なら紛らわしい言い方をするなと心の声を咳払いで誤魔化し、自分の身をガードしていた手を下へ降ろす。

「金がないなら働いて稼ぐのが当然だろ。しばらくは俺の為に働いてもらうからな。」

「働くって・・今も一応働いてますけど。」

「今の仕事は全部辞めてもらう。ホステスの仕事も問題起こして行き辛いだろう?新しく仕事を用意してやるからしばらくそこで働いてもらうぞ。」

まぁ確かに騒ぎを起こした夜の店には行き辛いけど…。

どうやら私には拒否権がなさそうだ。私に有無を言わさないまま話は進んでいく。そして社長は携帯を取り出し、どこかへ電話し始める。

「行くぞ。」

「え?何処に?」

電話が終わると、社長は何も言わず社長室を出た。どうにでもなれと開き直った私は社長の後をついて歩く。

エレベーターに乗り下へ降りる。エレベーター内ではお互い何も話さず沈黙の時間が続いた。

エレベーターはさっきの受付嬢がいる1階へ着いた。また受付嬢の視線を感じながらビルを出て、地下の駐車場へ向かう。そこには私を社長室まで連れて行った男性が待っていた。きっとさっきの電話は彼にしたのだろう。

「お待ちしてました。」

また黒の高級車に乗り込む。社長は後ろへ私は助手席へ座る。そして男性はさっきみたいに車のドアを開けてくれた。

「では出発します。」

行き先を言わないまま車は駐車場を出た。

何処へ行くのだろう?ビジネス街を抜け、今度は高級そうな建物が見える。

そして車が止まった。この高級そうな建物が目的地なのだろうか。私は車を降りて建物を見上げる。

「凄っ…ここタワーマンション・・?」

最早、何階まであるか分からない高層のマンション。外観もお洒落で私とは縁のなさそうな建物だ。それにしても、このタワーマンションで私は何の仕事をするのだろう。不安感しかない。私は怪しい仕事じゃありませんように、と心の中で願った。
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