My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 2
私は涙を呑みこむように唇を噛みしめて首を強く振った。
「ありがとうございました! エルネストさんがラグ達を呼んでくれたおかげで、私もセリーンも助かりました」
まっすぐに彼を見つめて続ける。
「それに、一人のときもエルネストさんが見守ってくれてるって思ったら、その……とても心強かったです!」
顔が真っ赤になっているのが自分でわかる。
でも彼がいつもの綺麗な笑顔を見せてくれて、言って良かったと思った。
「今回は彼……アルディートと言ったかな? 彼がいなかったら本当に危なかった」
すっとエルネストさんの視線が離れる。
「ラグ。君だけだったら、カノンをあのまま奪われていただろう」
「うるせぇ! この呪いが――っ」
何かを言いかけ、ラグは大きく舌打ちをした。
強く握られた行き場の無い拳が小刻みに震えている。
エルネストさんはそんなラグを見てふぅとため息をついた。
「まぁ君も今回のことでわかったようだけど、二度とカノンから離れないようにね。でないと、なんのために君を選んだのかわからなくなってしまうよ」
(選んだ……?)