My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 2

「ラグ」

 唐突に背後から声を掛けられ、ラグがすぐさまこちらを振り返り、同時に俺も振り返って――とにかく驚いた。
 そこには金髪の男(……だよな?)が立っていた。いや、その場に浮いていた。しかもその体は透け向こうの林が丸見えで――。

「で、でででっ、で、出たああああああ~!!」
「うるせぇ黙れ! ――何の用だ、金髪野郎」

 冷静な、いや、最高不機嫌なラグの低い声に俺もどうにか平静を取り戻すことが出来た。

(知り合い、なのか……?)

 だが、俺よりも年下に見えるその優男が深刻そうな顔で口にした言葉に、更に驚くことになる。

「ラグ、今すぐに戻って。カノンがグラーヴェ兵に攫われた」
「!?」
「は!?」
「赤毛の彼女も、カノンを助けるために酷い傷を負ってしまった」
「セリーンが!?」
「急いで戻って――」

 最後にそう言い残し、金髪の男は風に攫われるようにすーっと消えていってしまった。
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