終着駅は愛する彼の腕の中
3目撃者と犯罪者


「ただいま」

 羽弥斗が玄関を入ると、急ぎ足ですみれがやって来た。


「お帰りなさい、羽弥斗」


 満面の笑みでやって来たすみれ。

 綺麗にしているすみれを見ると、ノエリはちょっとムッとして俯いた。


「あら、この子が羽弥斗の彼女? とっても可愛い子ね」

「城里ノエリさん。ちょっと、人見知りだけどとっても良い子だよ」

「ノエリちゃん、可愛い名前ね。羽弥斗の母のすみれです。さ、どうぞ」


 

 リビング。

 食卓には夕食の準備がされている。


 唐揚げやエビフライ、ハンバーグ、サラダなどの料理が並んでいる。


 
「お、羽弥斗お帰り」


 料理を並べている瑠貴亜。


「父さん、早かったんだね」

「いやあ、すみれから連絡が入ってね。羽弥斗が素敵な彼女を連れてくるから、色々買ってきてと言われてからさぁ」

「そっか、すごい料理だね」



 瑠貴亜はノエリに歩み寄って来た。


「えーっと、何ちゃん? 」

 尋ねられ、ノエリはきょんとなった。


「あ、父さん。ノエリ、城里ノエリちゃんだよ」

「ノエリちゃん? どっかで見た事あるような気がするけど。いらっしゃい」


 ギュッと、瑠貴亜はノエリにハグをした。


 ノエリは驚いて目を丸くした。


「ちょっと父さん。ノエリはちょっと人見知りするんだ、いきなりハグなんてしたらびっくりするよ」

「あ、ごめん、ごめん」


 照れ笑いを浮かべながら、瑠貴亜はじっとノエリを見つめた。


 ノエリはじっと見られるのが嫌で、すっと視線を落とした。


「とりあえず座って」


 羽弥斗はノエリを食卓の椅子に座らせた。



 壁時計を見ると、もう18時を回っていた。


「ひまわりは? 」

「部活で遅くなるみたいよ、先に食べましょう」

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