終着駅は愛する彼の腕の中

 瑠貴亜とすみれ、羽弥斗とノエリ。


 4人で食卓を囲む。


 ノエリは遠慮しているか、なかなか食べようとしない。

 そんなノエリを見て、羽弥斗がお皿に色々とってくれる。


 じっと何かを我慢しているのか、ノエリは食べようとしない。


 
 すみれはそっと、ノエリの前にフルーツジュースを置いた。

 グラスにつがれたフルーツジュースが、とても綺麗に見えて、ノエリはじっと見つめた。


「ノエリちゃん、喉渇いてたんでしょう? そのジュース、お肌にも良いのよ。飲んでみて」

 
 すみれが進めてくれても、ノエリはなかなか飲もうしてとしない。

 
 隣にいた羽弥斗がそっと、ノエリの手を握ってくれてた。


 ハッとして、ノエリは羽弥斗を見た。



「母さんは、美容研究家なんだ。毎日、綺麗な女性を増やしたくて体に良いものを研究しているよ。大丈夫だから飲んでみて」

 そう言われて、ノエリは一口飲んでみた。


 甘くて、ちょっと酸っぱい感じが口の中に広がる優しい味にノエリの気持ちも柔らかくなった。


「ノエリ、これ食べてみて」

 羽弥斗がフライドチキンを渡してくれた。

 持ち手には銀紙が巻いてある。


 ノエリは素直に受け取って、一口食べて見た。


「あ・・・美味しい・・・」

 久しぶりに食べたフライドチキンが、とても美味しくて、シレっとしていたノエリの顔もほころんだ。


「でしょう? 母さんの料理はとっても美味しくて、心がほっこりなるんだ。どんどん食べて」


 手が止まっていたノエリが、だんだんとお皿に乗っている物を食べ始めた。

 どれも美味しくて。

 それでいてホッとさせられる。


 今までのノエリは、食べる事もどうでもよくて、スーパーなどでタイムサービスになり安くなったお弁当やお惣菜を買っていた。

 時折コンビニ弁当も買っていたが、冷たいまま温める事すらしないで食べていた。

 どれを食べても美味しくない・・・

 なんか全部嘘っぽい・・・。

 ノエリはずっとそう思っていた。


 この10年はずっと・・・。


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