甘やかされ婚~年上の旦那様は、獣な本性を隠している~
「ほら。真由はその間に、ゆっくりお風呂入っておいで」


私の行動の理由を呆気なく見透かし、チラッと目を向けただけで、仕事部屋から出て行く。


「っ、あ、蓮君……っ」


前を通り過ぎて行く彼を、慌てて大きく振り返った。


昨夜、祥子が先輩たちに説明してくれた通り、蓮君は在宅勤務だ。
一級建築士の仕事をしていて、三年ほど前、フリーランスに転向した。


それまで勤めていた大手建築会社では、大型商業施設や、国際的なイベント会場、競技場などの設計を手掛けていたそうだ。
そのどれもが日本のみならず海外からも称賛を受けているのは、私もニュースなどで見て知っている。


まだ、三十三歳。
建築業界では、『若き天才』と評される、才能溢れる優秀な逸材。


建築会社に在籍したままでは、仕事を選ぶことができないし、やりたい案件に携わることができない。
そういう理由で、蓮君は若くして独立した。


そして、彼の思惑通り。
フリーになったら、海外からも直接オファーが入ったりして、英語で電話する姿も、時々見かける。


優しくて、カッコよくて頼りになって……ほんと、なんでもできちゃうパーフェクトな蓮君。
そんな彼は、私が五歳の頃からの幼馴染だ。
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