甘やかされ婚~年上の旦那様は、獣な本性を隠している~
家が隣で、両親同士年が近いせいもあり、とても仲がいい。
家族ぐるみの付き合いを続けて、早二十年。
『隣の家の、優しくてカッコいいお兄ちゃん』と、夢のような結婚をして、まだやっと一ヵ月――。


「ん?」


私の呼びかけに、蓮君は足を止めて、肩越しに振り返ってくれた。
いつも私に向けてくれる、温かい眼差し。
慈愛とか慈しみとか……とにかく、私をものすごく大事に思ってくれているのが感じられるその瞳に、私の胸はきゅうんと疼く。
駆け寄って飛びつきたい衝動に駆られるけど、自分のドロドロさを思い出し、それだけはなんとか自重する。


「……オムライス、食べたい。卵トロトロの」


私は、今日のランチも諦めて、リクエストで返した。


本当は、少しは私にもやらせてほしいところだけど、蓮君の言う通り、お風呂に入った後で作ったら、彼のランチまで、さらに遅くなってしまう。
蓮君は、ふわっと微笑む。


「OK。とびっきりの、作ってあげる」


自分を鼓舞するように腕まくりをして、キッチンに向かう広い背中。


――ほんと。甘やかされてるなあ、私……。
それが嬉しくもあり、切なくもあり……私は、なにかもどかしい思いで見送った。
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