甘やかされ婚~年上の旦那様は、獣な本性を隠している~
私の返事を聞いた一色先生が、静かにこちらに目線を向けた。
そして、さらになにか言おうとする主任を軽く手で制して、自らこちらに歩いてくる。
カツカツと革靴の踵を鳴らし、ズンズンと近付いてくるスーパードクター。
神様のような存在の人が、私の前でピタリと足を止めて「お疲れ様」と言ってくれる。
あまりの畏れ多さに、私は身を縮めてしまった。
「あっ、ありがとうございます!」
主任に負けないくらい声をひっくり返らせた私を、祥子が窺うように見上げている。
彼女は面白がってるんだろうけど、この人に声をかけられたら、『恋する乙女』とは違う意味で、うちの脳外科のナースの声色は変わるはず。
それを、自分の身をもって実感した。
そして、崇められる当の本人は、そんな私に苦笑いする。
「取って食いやしないから、落ち着いてくれ」
むろん、一色先生が私を食うなんて、思ってないけど。
度を過ぎた緊張は、先生に気遣わせてしまう。
私は、すーはーと大きく深呼吸をした。
「はいっ。大丈夫です。ご用件があれば、なんなりと!」
無駄に力んで、改めて先生に向き合い、聞く体勢を万全にして意気込むと。
「いや、頼み事じゃなくて、聞きたいだけだ」
「へ?」
そして、さらになにか言おうとする主任を軽く手で制して、自らこちらに歩いてくる。
カツカツと革靴の踵を鳴らし、ズンズンと近付いてくるスーパードクター。
神様のような存在の人が、私の前でピタリと足を止めて「お疲れ様」と言ってくれる。
あまりの畏れ多さに、私は身を縮めてしまった。
「あっ、ありがとうございます!」
主任に負けないくらい声をひっくり返らせた私を、祥子が窺うように見上げている。
彼女は面白がってるんだろうけど、この人に声をかけられたら、『恋する乙女』とは違う意味で、うちの脳外科のナースの声色は変わるはず。
それを、自分の身をもって実感した。
そして、崇められる当の本人は、そんな私に苦笑いする。
「取って食いやしないから、落ち着いてくれ」
むろん、一色先生が私を食うなんて、思ってないけど。
度を過ぎた緊張は、先生に気遣わせてしまう。
私は、すーはーと大きく深呼吸をした。
「はいっ。大丈夫です。ご用件があれば、なんなりと!」
無駄に力んで、改めて先生に向き合い、聞く体勢を万全にして意気込むと。
「いや、頼み事じゃなくて、聞きたいだけだ」
「へ?」