甘やかされ婚~年上の旦那様は、獣な本性を隠している~
「は、はい……」


看護師として役目を果たせた喜びが大きく、手柄を取った気分でいた私は、とてつもなく疚しくて後ろ暗い。
私も先生のように、もっと患者さんに心で寄り添える看護師にならないと……。


自分を戒めるつもりで、両手でパンと頬を叩く。
私の突然の行動に、一色先生はギョッと目を見開いたけれど。


「とにかく、夜勤ご苦労様」


気を取り直したようにそう言って、私の手に記録用紙を返してくれた。


「あ。実は先週、休暇をもらっていてね。遅くなったが、お土産を持ってきたから、よかったら君たちも食べてくれ」

「あ、ありがとうございます!」


私は、一色先生に元気よくお礼を言ってから……。


「あの……どちらに行かれたんですか?」


踏み込み過ぎとわかっていても、ついつい好奇心が勝って訊ねてしまう。
一色先生は眉一つ動かさず、「ああ」と相槌を打った。


「大したところじゃない。温泉だ」

「温泉……! それって、彼女さんとですよね?」


聞いた途端にピンと来て、ついつい声を弾ませてはしゃいでしまった。
一色先生も、さすがにやや怯んだ様子だったものの。


「ああ。まあな」


少しだけ照れ臭そうに、でも、しっかりと肯定の返事をしてくれた。
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