甘やかされ婚~年上の旦那様は、獣な本性を隠している~
記録残業も三十分程度で終わり、付近のオフィスに勤務するサラリーマンやOLが忙しく行き交うのに逆行する、朝の帰り道――。


私と祥子は、大学病院近くのコーヒーショップに寄って、テーブル席で向かい合った。
お互い、ホットカフェラテをオーダーする。


このショップは、朝の時間にドリンクを注文すると、トーストと卵のモーニングが無料になり、なんとも気前がいい。
新人の頃から、私と祥子のお気に入りで、深夜勤明けの朝は一人でもよく来ていた。


「なるほどねえ。そりゃあ、一色先生を羨ましがる気持ちもわかるわ」


店員さんが運んできてくれた厚切りのトーストに早速バターを塗りながら、祥子が何度も首を縦に振った。


「あっちもそっちも、タイミングずれまくり。もともと旦那様が一人暮らししてた部屋に引っ越しただけでしょ? 旦那様の生活はなにも変わらないし、真由、現状ただの押しかけ妻……居候だね」

「う……」


悔しいけれど、本当にその通りだから、なにも言い返せない。
私は、香ばしいトーストにはちみつを垂らしただけで、カプッと齧りつく。
モグモグと口を動かし、ごっくんと飲み込んでから、がっくりと肩を落とした。


「妻どころか、居候だなんて……」


気持ちがズーンと落ち込んで、私はテーブルに額をのせた。
祥子はトーストにかぶりつき、「う~ん」と唸る。
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