甘やかされ婚~年上の旦那様は、獣な本性を隠している~
私は、倉橋真由。
旧姓は、橋詰という。
国立東都大学附属病院に看護師として入職して、丸四年。
この間二十六歳になったばかりで、明るさと体力だけが取り柄の、まだまだ『新米』の域を出ない看護師だ。


私は、脳外科病棟に勤務している。
うちの病院の病棟は、エレベーターを真ん中に東西に分かれていて、東と西、それぞれをA、B病棟と呼んでいる。
私は七階の西、B病棟の看護師だ。
オペを終えたばかりの患者さんの、周術期看護に携わっている。


昨夜のように、日中オペを受けた患者さんが多いと、夜勤はてんてこまいだ。
術後、重篤な合併症に陥るのを防ぐために、些細な徴候でも見逃せない。
普段の業務に加えて、通常よりも頻回のバイタル測定に駆け回る。
二十四時間三交替のシフト勤務は、日々緊張、そして勉強の毎日。


そんな私だけど、実は、つい一ヵ月前に入籍したばかり。
正真正銘、新婚ほやほやの新妻だ。


この四年間、忙しい仕事中心の生活で、プライベートはほぼ皆無に等しかった。
それは、私だけじゃない。
他の同僚たちにも共通する、一種職業病ともいえる憂い。


だからこそ、私の入籍報告は、病棟内でもちょっとしたセンセーショナルな出来事だった。
先輩やドクターたちだけではなく、噂を聞いた入院の長い患者さんにも、目を丸くして驚かれた。


それも、仕方ない。
だって、当の本人の私も、予想だにしていなかったのだから。
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