シュガーレスでお願いします!

「ありがとう……」

酔っぱらって帰ってきたその朝に、温かい朝食を用意してくれる旦那様がどれほどいるだろう。

私は大人しくダイニングチェアに座って、慶太の作ったみそ汁のお椀に静かに口につけた。

「美味しい?」

「うん」

向かいに座る慶太に尋ねられ、私は素直に頷く。

みそ汁は五臓六腑に染み渡るうまさだけど、欲を言えば私もその焼き鮭と卵焼きが食べたかったな……。

1週間ぶりに囲む食卓は恐ろしい程に静かだったが、不思議と重苦しくなく、なぜだか分からないけれど慶太の機嫌はすっかり直っていた。

むしろ、終始ニヤついていて怖いくらい……。

私が寝ている間に何かあったのか、恐ろしくて聞くのも憚られる。

「ねえ、新しいケーキは考えついたの?」

「うん。今日からは普通に帰ってくるから」

「そう……」

……よかった。昨日私がsoleilに行ったことには気づいてないようだった。

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