シュガーレスでお願いします!

「えと……困ります……」

「どうして?」

最後に男性とお付き合いしたのはいつのことだったか。

確か司法試験に集中したくてデートの誘いを断り、メールの返信を怠っているうちに、いつの間にか自然消滅していたと記憶している。

そもそも、ちまちま連絡を取り合ったり、大した理由もなく情緒不安定になったりするなんてまっぴらごめんだ。自分に恋愛はとことん向いていないんだ。

それ以来、自分で恋愛不適格者の烙印を押して、恋愛を避けてきた私にプロポーズなんてイベントは早過ぎる。

男女の付き合いもろくに分からないうちに、さあ結婚と言われても困る。
それに……。

「だって……有馬さんはパティシエだし……」

「パティシエは嫌い?結婚したくない?」

「そういう訳じゃなくて……」

なんとかして断ろうとしても、有馬さんの方はもうただの男友達でいる気はサラサラないようだ。

なおも食い下がろうとする彼に、はっきり言わなければならないのは心苦しい。

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