シュガーレスでお願いします!
「実は私、見たんだ。soleilで慶太と清水さんが一緒にいるところ……」
「まさか……俺が浮気でもしてるんじゃないかって疑ってるのか?」
「だって!!“節度を持て”と言っても慶太は全然平気そうにしているし……」
愛情が移り変わったとは思いたくないけれど、他に嘘をつく理由が思いつかない。
シュガーレス体質の私はパティシエの妻としては、どうあっても彼女には劣る。
可愛げのない私より、素直に自分を慕ってくれる清水さんに慶太が心動かされたとしてもおかしくない。
「そりゃあ、彼女にパティシエとして俺の知ってる技術を教えることもあるよ?でも、俺と清水さんは雇い主と従業員以外の何物でもない」
「じゃあ、一体soleilで何してたの?」
「まだ言えない」
清水さんとの関係はきっぱり否定するのに、肝心な部分については固く口を閉ざす慶太に不信感が募る。
エプロン事件のような、冗談めかした嘘ならまだ許せたのに……。
「……わかった。もういい」
私はダイニングチェアから立ち上げり、慶太に背を向けるとそのまま寝室に閉じこもった。
慶太のことを信じたいのに、信じられない自分がほとほと嫌になった。