シュガーレスでお願いします!

「っつ……!!」

痛みを堪えるような低いうめき声が聞こえて、私は様子を窺うようにうっすらと目を開けた。

振り上げられたナイフは私の身体に届くことはなかった。

「けい……た……?」

……私を庇うようにして、慶太が葛西さんの旦那さんの前に立ち塞がっていたからだ。

「慶太、血が!!」

顔の前で交差した両腕の内、右腕の手首から肘にかけて15センチほどがざっくりと切れていた。

切られたワイシャツの隙間からのぞく傷口からは赤い血がぽたぽたと滴り落ちた。

「ひっ……!!」

葛西さんの旦那さんは鮮血を見ると驚いてその場に尻もちをついた。

「あんた、最低だな……!!」

慶太は隙だらけになった彼が持っていたナイフをすぐさま遠くに蹴り飛ばした。

ナイフはベンチの脚に当たり、カランカランと耳障りな音を立てたきり、沈黙する。

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