シュガーレスでお願いします!

ガラガラと処置室の引き戸が開き、右腕を包帯でグルグル巻きにされた慶太が手当てをしてくれたお医者様にお礼を言いながら廊下に出てきたのは、五十嵐先生が立ち去って、数分後のことだ。

「慶太!!」

私はすぐさま慶太に駆け寄り見るからに痛々しい右手の具合を尋ねるのだった。

「右手はどう……?痛い?」

「10針も縫ったらそれなりにね……」

麻酔が効いているうちはまだいいが、傷が治るまで痛みはどうしてもついてまわってくる。

痛くないと言えば嘘になるので、慶太は正直に答えた。

パティシエにとって右腕を自由に動かせないということは死活問題だ。

どんなに平気そうな顔をしていても、些細な表情、ちょっとした仕草に動揺が見て取れる。

「私が……怪我すればよかった……」

あれほど注意するように言われていたのに警戒を怠り、油断した挙句の結果がこれで、自分が心底情けなくなる。

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