シュガーレスでお願いします!
同じ右腕でいいなら喜んで自分の右腕を差し出す覚悟があるのに、現代医療はまだそこまでの領域には達していない。
責任を感じて打ちひしがれる私の肩を叩きながら、慶太がそっと声を掛ける。
「比呂、そこに座って」
お言葉に甘えてソファに座ろうとした私の動きは、他ならぬ慶太に制止させされた。
「違う、違う。床に座るんだ」
……聞き覚えのあるフレーズに嫌な予感がしかしない。
言われた通り床に正座すると、慶太はその場にしゃがみこみ無傷の左手で私のおでこを思いっきりデコピンしたのだった。
「いった――い!!」
デコピンは目の奥で星が飛び、眩暈がするほどのすさまじい威力だった。ここが病院でなかったら、床をのたうち回っていたことだろう。
「何てことするの!!」
おでこを押さえて痛みに悶絶しながら、私は慶太に対して非難の声を上げた。
「俺が身体を張って比呂を守ったのは、あんな陳腐なセリフを聞くためじゃない」
不服そうに言うと慶太は私を左腕一本で抱き寄せ、首筋に顔をうずめ深く息を吐いた。