シュガーレスでお願いします!
「無事で良かった……」
慶太の声は私の無事に安堵し、小さく震えていた。
あの時、躊躇いなく身を投げ出してくれた慶太の気持ちを思うと涙が滲んだ。
何が起こったか把握できないまま、突然電話が切れ、どれだけ心配させたことだろう。
異変を感じ事務所の近くを探して回り、やっと私を見つけたと思ったら目の前にナイフが振り上げられていて、きっと生きた心地がしなかったはずだ。
慶太がいなかったら、私は今頃どうなっていただろう。
慶太は特別勇敢というわけではない。ただ、私を守ろうと必死になって行動しただけ。
その根底には間違いなく愛情がある。なら、彼に言うべき言葉はひとつだ。
「守ってくれてありがとう……慶太……」
私の無事を確かめる慶太に応えるように、しかと抱き締め返す。
私以上に私のことを大事に想ってくれる人がいて、こんなに嬉しいことはなかった。
(慶太と結婚してよかった……)
嘘をつかれていたことなど、どうでもよくなっていた。
命がけで私を守ってくれた。
それだけが、私にとって揺るぎない事実で他のことは取るに足らない出来事に思えた。