シュガーレスでお願いします!

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店にいても役に立たないから休んでいろと、晴れて大輔さんから特別休暇をもらった慶太は怪我が治るまで自宅療養することになった。

一刻も早く治せ、死ぬ気で治せと急かされ、消毒で通院する以外は家で大人しく療養に励む。

といっても利き腕がうまく使えない以上、日常生活を送るのも一苦労だった。

「あ」

スプーンでご飯をすくおうとした拍子に、別の皿に肘が当たってしまい、おかずがダイニングテーブルにこぼれていく。

慶太ははあっとため息をこぼし、ダイニングテーブルにこぼしたおかずを台拭きで丁寧に拭っていく。

私の目からみても慶太がイライラしているのは明らかだった。

右手の指先を使うとそれに連動して腕の筋肉が動いて、傷が引きつって痛みが走るのだ。

箸を持ち上げることに神経を使うため、慶太の食卓にはスプーンを用意するようになった。

もちろん、なるべく食べやすい物を選んで作るようにしているけれど、それでも食事へのストレスを完全になくすことはできない。

「慶太、スプーン貸して?」

私は見るに見かねてスプーンを貸すように慶太に申し出た。

茶碗の中に残っている米粒をかき集め、スプーンに乗せると慶太の口元へと運ぶ。

「はい、あーん」

「比呂……」

さすがに赤ん坊のように食事の世話をされることに抵抗があるのか、慶太は恥ずかしそうに目を伏せた。

「ほら、遠慮しないで。早く口を開けてくれ」

そんなに照れることないじゃないか。必要なことだからしているだけ。

つべこべ言わずに口を開けろと、スプーンを口元に差し出し続けると、慶太は観念したのか大人しくスプーンを咥えたのだった。

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