シュガーレスでお願いします!
「あのさ……“節度を持て”って言ったこと……取り消すから……」
「比呂?」
「私、刺されそうになった時、すっごく後悔したんだ。もう二度と会えないなら、慶太ともっと……」
イチャイチャしておけば良かったなんて、口に出すのも憚られて、最後はもにょもにょと誤魔化す。
ああ、もう!!自分でもなにを考えてるんだろう!!
「比呂」
私が何を言いたかったのか通じたのか……いや通じてしまったのか、慶太がこちらに来いと手招きする。
手招きに応じて近づいていくと手首を掴まれ、前方に引き倒される。つんのめった先にあったのは慶太の逞しい胸板だった。
「怪我さえしてなければなあ……」
慶太は私の頭をシヨシと頭を撫でながら、しみじみとそう言った。
『怪我をしていなければ』のその先を容易く想像することが出来て、恥ずかしさのあまりクラリと眩暈がした。
「右腕が治ったらめちゃくちゃ抱く」
新婚旅行の夜の続きをする代わりに、慶太は私の額にキスを落としたのだった。
「……うん、早く治してね」
ケーキを作る時のような真顔で宣言され、私はいずれ訪れる眠れぬ夜を覚悟するのだった。