シュガーレスでお願いします!
「もう凄かったんだって~。引換券を渡す前に上野先生が彼女をかっさらって行ってさ~。厨房からわざわざ見に行っちゃったよ。まるで外国の恋愛映画みたいに華麗だった」
慶太から手放しの賞賛をもらった上野先生は、ゴフっと不自然に食べかけのケーキにむせていた。
事務所にいる全員の視線が上野先生へと注がれていく。
もしや、いやまさか、上野先生……。あの日、遠藤さんと……?
「あれ?もしかしてまだ秘密でした?」
「あ、いや……」
うっかり口を滑らしてしまったのではと焦った慶太が尋ねても、上野先生は顔を伏せるばかりでちっとも要領を得ない。
誰が最初に口火を切るのかと互いに目配せし合い、僭越ながら私が初めの一言を投げかける名誉に預かった。
「おめでとうございます!!」
片思い卒業を祝って、誰彼ともなく拍手が巻き起こる。
遠藤さんがこの場にいたら、『やめてください』とでも叫びそうなものだが、今日は幸い不在だ。